みなさんは「視能訓練士」という職業を知っていますか?
はじめて聞いたという人もいると思います。
コ・メディカルの中でも、圧倒的に知名度が低い「視能訓練士」。
視能訓練士は眼科領域での専門技術者なので、他のコ・メディカルより限定的であることが1つの原因だと思われます。
7年勤務した眼科クリニックでも、1度も視能訓練士と呼ばれたことはなく、必ず「看護師さん」と呼ばれていました…悲しい…
そんな私が視能訓練士とはいったいどんな仕事をするのか、どうすればなれるのか解説していきます!
視能訓練士=視機能のスペシャリスト
視能訓練士とは、日本視能訓練士協会にて以下のように説明されています。
【Certified Orthoptist(通称CO)】
小児の弱視や斜視の視能矯正や視機能の検査をおこなう国家資格を持つ専門技術職として日本では1971年に誕生しました。視機能のスペシャリストとして、乳幼児からご高齢の方まで世代を超えて皆さまの大切な目の健康を守るお手伝いをしています。
さらにわかりやすく言うと、「目の健康を守るスペシャリスト」。
もちろん眼疾患を診断することは医師しかできませんが、診断のためのお手伝い(検査をしてデータを集める)をする人といえばイメージが湧くと思います。
具体的にイメージするなら、みなさんに馴染みがあるのはランドルト環でしょうか。
そうです、この図形で視力検査をする人です!
また目の深い知識を持っていることから、めがねやコンタクレンズがその方に最も適した度数を決める処方のプロでもあります。
よって、病院やクリニックで医師に従事するだけでなく、めがね屋さんなどで働くことも可能です。
視能訓練士の4つの役割
視能訓練士の仕事内容は、大きく以下の4つに分かれます。
1.視能矯正
視力の出ない弱視、焦点が合わない斜視の患者さんに対する検査や訓練をすることを「視能矯正」と言います。
視力の発達は、生まれてからおおよそ6歳までに完成すると言われており、弱視や斜視の早期発見、早期治療が必要です。
この視能矯正こそが、視能訓練士の専門知識と経験が問われる領域!
3歳など低年齢のお子さんを相手にする検査は、思うように進まないことも多いため四苦八苦することもしばしば。
視能訓練士は、保育士のように子どもとのやり取りが得意だとより良いでしょう。
子供の将来に関わる視機能を守るために、視能矯正はやりがいのある検査ですが難しい分野とも言えます。
ですが、この視能矯正ができてこそ視能訓練士と堂々と名乗れるのです。
2.視能検査
いわゆる、みなさんが想像する視力検査などの検査業務が「視能検査」です。
その人の目は、今どれくらい見えているのか、疾患が隠れていないかを疑いながら検査をします。
以下の検査が外来で主に行うものです。
- 視力検査
- 屈折検査
- 眼圧検査
- 眼底検査
- 前眼部検査etc..
他にも数えきれないほどの検査がありますが、詳しくは別の記事でお届けする予定です。
視能訓練士はその患者さんに必要な検査をして、そのデータをもとに医師は診断をします。
3.健診業務
「検診業務」では、集団でスクリーニングといって最低限の簡単な検査を行い、その結果で精密検査が必要な場合はクリニックや病院へ紹介するという流れです。
子どもの検診では、3歳児検診・就学前検診・学校検診などがあります。
大人と違い視力の発達段階であり、健全な視力の確立にはタイムリミットがあるため重要視されています。
特に3歳児検診では、隠れた斜視・弱視を見つける第一歩の検査となるため、視能訓練士を配置する自治体が増えてきました。
こういった傾向から、昔よりも斜視や弱視のお子さんが適切な時期に適切な治療や訓練を受けられるようになってきたことは良いことです。
大人の検診では、目の病気だけではなく、生活習慣病からの合併症の発見へつながる可能性もあります。
検診業務は、視能訓練士が関わることで子どもも大人も疾患の早期治療につながっています。
4.ロービジョンケア
疾患や外傷などで視機能が大きく低下し、日常生活に支障が出る状態を「ロービジョン」と言います。
そのような方に、日常を少しでも楽に暮らせるように、ひとりひとりに合わせた補助具のご提案やリハビリ施設のご紹介することが「ロービジョンケア」です。
時には、障害者手帳の申請のお手伝いなどをすることもあります。
「見えること」は生活の質【QOL(Quality of life)】に直結します。
ロービジョンの患者心理に寄り添い、QOLが少しでも上がるようにお手伝いすることも視能訓練士の重要な業務の1つです。
視能訓練士になるためには
視能訓練士は、明日からなれるものではありません。
なぜなら、国家資格だからです。
こんなにも知名度がないのに・・・国家資格なんです!
視能訓練士として働くためには視能訓練士養成学校に入学し、座学と最低3ヶ月の実習を経て、年に1度の国家試験に合格しなければいけません。
他の医療従事者と同じく年齢制限はないので、子育てがひと段落したママさんも同じクラスに何人かいらっしゃいました。
私も新卒の会社を3年で辞めて入学した転職組。
視能訓練士の学校は3年制と1年制があり、私が通った1年制の入学には細い条件がありますが、クリアすれば時間とお金の節約になるので気になる人は検討してみてください。
視能訓練士という職業について、少しは理解が深まりましたか?
少しでも多くの方に、このマイナーな視能訓練士という職業に興味を持っていただければ幸いです。
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